1. 【御利益】
石筒之男神は、その出自である「剣」と「岩」の性質から、人生の基盤を固め、道を切り開く力強い御利益を持つとされています。
- 殖産興業・事業繁栄 (岩のように揺るがない基盤を作り、産業を生み出す力)
- 厄難消除・災い除け (剣の威力が災いを断ち切り、身を守る)
- 学問芸術・合格祈願 (智恵と精神統一を司り、目標に向かう集中力を高める)
- 火難消除 (火の神カグツチから生まれた経緯により、火を鎮める力を持つ)
2. 【概要と由来】
石筒之男神(イワツツノオノカミ)は、日本神話において非常に劇的な場面で誕生した神様です。
国産みの後、伊邪那岐命(イザナギ)が火の神カグツチを十拳剣(とつかのつるぎ)で斬った際、その剣の切っ先についた血が岩場に滴り落ちて生まれました。
『古事記』では「石筒之男神」、
『日本書紀』では「磐筒男神」と表記されます。
名前にある「イワ(岩)」は堅固な盤石さを、「ツツ(筒)」は神霊が宿る器や依代(よりしろ)、あるいは接続を意味すると考えられています。
つまり、岩の中に秘められた強大な生命エネルギーを象徴する存在です。
「苦あれば楽あり」
という言葉が示すように、硬い岩の割れ目から美しい花が咲くような、忍耐の先にある成功を約束する神様として信仰されています。
3. 【詳細解説】
この神様の魅力を深く知るために、神話の背景と性質を掘り下げてみましょう。
剣と岩のスピリチュアルな結合
石筒之男神は、単独で語られることは少ないものの、非常に重要な役割を持っています。
彼はイザナギの剣から滴る血、つまり「神の生命力そのもの」から生まれており、同時に誕生した石析神(イワサク)、根析神(ネサク)と共に、剣の威力や岩石の霊力を神格化した存在です。
これは、迷いを断ち切る決断力や、物事を貫き通す意志の強さを表しています。
『日本書紀』における「親神」としての顔
『古事記』では武神・建御雷神(タケミカヅチ)の祖先神(あるいは兄弟的な位置づけ)として登場しますが、『日本書紀』の一書ではさらに興味深い記述があります。
そこでは、石筒之男神と石筒之女神が夫婦となり、国譲り神話で活躍する剣の神「経津主神(フツヌシノカミ)」を生んだとされています。
最強の武神の親であることから、石筒之男神自身もまた、底知れない武徳と、荒ぶるものを平定する「智・仁・勇」を兼ね備えているとされます。
現代に響くメッセージ
画像にある「もう少しで花が咲く」という言葉は、この神様の性質をよく表しています。
硬い岩(現状の困難)であっても、長い年月と生命力(意志)があれば、必ずそこから芽吹き、花を咲かせることができる。そんな「現状打破」と「大器晩成」のエネルギーを私たちに与えてくれる存在です。
4. 【金沢での関連寺社・スポット】
金沢市内において、「石筒之男神」を主祭神として単独で祀る神社の存在は、残念ながら確認できませんでした。
しかし、神話上の深い繋がり(親子関係)を辿ることで、その御神徳に触れることができます。
関連スポット:金沢市内の「春日神社」
『日本書紀』において、石筒之男神の子とされる経津主神(フツヌシノカミ)は、春日大社(奈良県)の第二殿に祀られる主要な神様です。
金沢市内には、加賀藩主・前田家が崇敬したことや歴史的背景から、多くの「春日神社」が鎮座しています。お子神であるフツヌシノカミを通して、親神である石筒之男神の「道を切り開く力」を感じてみてはいかがでしょうか。
- 春日神社(増泉)
金沢市増泉に鎮座する春日神社は、厄除けや武道の神として地域に親しまれています。ここで手を合わせる際、その系譜にある石筒之男神の「岩をも貫く生命力」を意識することで、より深い祈りとなるでしょう。
全国の関連寺社
- 赤城神社(東京都新宿区)
江戸時代に創建され、殖産興業や学問の神として石筒之男神(磐筒雄命)を祀る代表的な神社です。 - 香取神宮(千葉県香取市)
子神である経津主神を祀る総本社。摂社・末社として磐筒男神が祀られている場合があります。
編集後記
「イワツツノオ」という響き、どこか硬派で強そうなイメージですが、解説を読んでみると「岩の隙間から花を咲かせる」という、とても情緒的で温かい希望を感じさせてくれますね。
金沢には直接お名前を冠した神社は見当たりませんでしたが、神様の世界は家系図のように繋がっています。
市内の春日神社を訪れた際は、「あの強い剣の神様のお父さんが、イワツツノオなんだな」と思い出してみてください。ガチガチに凝り固まった今の悩みも、きっと打破するヒントをくれるはずです。
金沢 寺社仏閣めぐり 
