1. 【御利益】
瀬織津姫(セオリツヒメ)は、溜まってしまった澱みを流し去る、強力な「リセット」の力を持つ神様です。
- 罪穢れの浄化(厄除け):知らず知らずのうちに身についた気枯れ(ケガレ)や罪を、川の急流のように洗い流します。
- 水難防止・交通安全:水の神としての側面から、水回りの安全や旅の安全を守護します。
- 良縁結び・復縁:悪い因縁を断ち切り、自分にとって本当に必要な縁(人、仕事、機会)と結び直してくれます。
- 開運・立身出世:滞っていた物事を動かし、新たな流れを生み出す力があります。
2. 【概要と由来】
「記紀」には登場しない、謎多き祓いの女神
瀬織津姫(セオリツヒメ)は、日本の正史とされる『古事記』や『日本書紀』にはその名が登場しません。
しかし、神道の最も重要な祝詞の一つである「大祓詞(おおはらえのことば)」には、この国の罪や穢れを早川の瀬から大海原へと押し流す、非常に重要な役割を持つ神として明記されています。
その正体については諸説あり、「天照大御神の荒魂(あらみたま=活動的な側面)」であるとも、歴史の彼方に意図的に隠された縄文由来の古い女神であるとも言われています。
謎に包まれた存在でありながら、現代でも多くの崇敬を集める、美しくも力強い水の女神です。
3. 【詳細解説】
特徴・シンボル
瀬織津姫を象徴するのは「急流」や「滝」、そして「桜」です。
穏やかな小川ではなく、岩をも砕くような激しい水流のエネルギーを持ちます。
画像にもあるように、彼女は「今のあなたで真っ直ぐに進みなさい」と背中を押す存在。
迷いや疑いといった心の曇りを祓い、本来の自分が持つ輝きを取り戻させてくれるでしょう。
神話・エピソード:隠された愛の伝説
一般的な神話では語られませんが、古史古伝『ホツマツタヱ』などの一部の伝承では、驚くべき姿が描かれています。
それによれば、天照大御神(アマテラス)は本来男性神であり、瀬織津姫はその后(きさき)であったとされます。
彼女は男性神アマテルが一目惚れするほどの絶世の美女でありながら、清く、明るく、そして芯の強い「女性の鑑」のような存在でした。
しかし、後の世の政治的な理由により、彼女の存在は歴史の表舞台から消され、名前を変えて各地に祀られることになったとも囁かれています。
「自分でも気づかないうちに心身についてしまった埃(ほこり)を、毎日お風呂に入るように洗い流してくれる」
そんな親しみやすさと、歴史のミステリーを併せ持つ点が、多くのスピリチュアルファンを惹きつけて止まない理由です。
4. 【金沢での関連寺社・スポット】
金沢市内には、この瀬織津姫を主祭神として祀る、知る人ぞ知る神社が実在します。
瀬織津姫神社(せおりつひめじんじゃ)
金沢市別所町、医王山(いおうぜん)の麓にひっそりと鎮座しています。
- 場所と雰囲気: この神社は、かつて修験道の霊場として栄えた医王山に関連するお社です。決してアクセスが良い場所ではありませんが、木々に囲まれた境内は静寂に包まれ、まさに「浄化」にふさわしい清冽な空気が漂っています。 長い石段を見上げると、俗世から切り離されたような神聖さを感じることでしょう。
- 見どころ: 社殿はこぢんまりとしていますが、その分、神様との距離が近く感じられます。また、医王山エリアは豊かな水脈があり、自然のエネルギーをダイレクトに感じられるパワースポットです。
(※参拝の際は、山間部のため歩きやすい靴でお出かけください。また、熊などの野生動物にも十分ご注意ください。)
全国の関連寺社
- 伊勢神宮 内宮 別宮 荒祭宮(三重県): 天照大御神の荒魂を祀りますが、これが瀬織津姫であるという説が有力です。
- 六甲比命神社(兵庫県): 巨大な磐座(いわくら)をご神体とし、瀬織津姫の伝説が色濃く残る聖地です。
編集後記
個人的な感覚ですが、瀬織津姫様は「甘やかすお母さん」というよりは、「ダメなものはダメ!」と背筋を正してくれる「頼れる姉御」のような神様だと感じます。
金沢の瀬織津姫神社は、観光地化されていない分、
本気で自分と向き合いたい時に訪れると、驚くほどスッキリした気持ちになれますよ。
何かもやもやした時は、ぜひ「心のデトックス」に訪れてみてくださいね。
金沢 寺社仏閣めぐり 
