金沢 寺社仏閣めぐり 
1. 【御利益】
天之常立神（アメノトコタチノカミ）は、天（宇宙）の基盤を固めた神であることから、物事の基礎や持続性、そして発展に関わるご利益があるとされています。
- 願望成就の加速 （停滞している物事を動かし、願いが叶うまでのスピードを早める）
- 事業繁栄・基礎固め （ビジネスやプロジェクトの土台を盤石にし、永続的な発展をもたらす）
- 開運招福・魅力向上 （自身の輝きを増し、前向きなエネルギーで幸運を引き寄せる）
- 必勝祈願・出世開運 （高い目標に向かって突き進むための「天の足場」を固める）
2. 【概要と由来】
天之常立神（アメノトコタチノカミ）は、『古事記』において天地開闢（てんちかいびゃく・世界が始まった時）の際に現れた「別天津神（ことあまつかみ）」と呼ばれる特別な五柱の神々のうち、最後に登場する神様です。
他の別天津神と同様に、性別のない「独神（ひとりがみ）」であり、現れてすぐに「身を隠した（姿を見せなくなった）」と記されています。
これは、天之常立神が具体的な形を持つ前の、宇宙エネルギーそのものや、天という空間の「器」としての役割を象徴しているためと考えられています。
天の頂点に立ち、宇宙が永遠に存在するための「土台」を確立した偉大な神様です。
3. 【詳細解説】
別の呼び名・表記
- 天之常立神（アメノトコタチノカミ・古事記）
- 天常立尊（アメノトコタチノミコト・日本書紀）
名前の意味とシンボル
神名の「アメ（天）」は高天原や宇宙、「トコ（常）」は床（土台）や永遠、「タチ（立）」は出現や確立を意味します。
つまり、「天の土台が永遠に確立すること」を神格化した存在です。
対となる神様に、神世七代（かみのよななよ）の最初に現れる「国之常立神（クニノトコタチノカミ）」がいます。
「国（大地）」が固まる前に、まず「天（宇宙）」の枠組みを完成させた存在と言えるでしょう。
神話・エピソード
『古事記』の冒頭、世界がまだ混沌としていた頃、高天原に次々と神様が現れました。
中心となる「天之御中主神（アメノミナカヌシ）」、生成の力を司る「タカミムスビ」「カミムスビ」、そして芽吹きを象徴する「ウマシアシカビヒコジ」。これらに続き、別天津神のアンカーとして登場したのが天之常立神です。
彼は、これまでに生まれた創造のエネルギーが散逸しないように、天という世界を「定着」させる役割を担いました。
彼が登場したことで、高天原という神々の住まう世界が完成したのです。
具体的な武勇伝や物語は記されていませんが、それは彼が「舞台そのもの」あるいは「舞台を支える重力」のような存在であるからだと言えます。
何事にも動じない不動の精神や、物事を前向きに進めるための揺るがない基盤を象徴しています。
4. 【金沢での関連寺社・スポット】
金沢市内・石川県内の状況
調査を行いましたが、現時点では金沢市内に「天之常立神」を主祭神として単独で祀る有名な神社の存在は確認できませんでした。
金沢市内には多くの由緒ある神社が存在しますが、この神様は「別天津神」という非常に根源的な神様であるため、一般的には「配祀（はいし）」として他の神様と一緒に祀られているか、社殿を持たず「天」そのものとして崇められるケースが多いのが特徴です。
しかし、金沢の神社巡りをする際は、ぜひ「天地の始まり」に思いを馳せてみてください。
特に、境内の清浄な空気が漂う場所で空を見上げ、この世界の広がりを感じる時、そこには天之常立神の力が満ちています。
全国の関連寺社
金沢からは離れますが、この神様を祀る代表的な神社としては以下が挙げられます。
もし東北や関東方面へ行かれる際は訪れてみてはいかがでしょうか。
編集後記
「アメノトコタチ」という名前、響きがとても力強いですよね。
普段、私たちは「地面」のことは気にしますが、「空（天）」がそこにあることのありがたさは忘れがちです。 何かに挑戦したいとき、あるいは物事が停滞して焦りを感じるときこそ、この神様のことを思い出してみてください。
「土台はもうできているから、あとは走るだけだ」
と背中を押してくれるような気がします。
金沢の空の下でも、そのパワーは変わらず降り注いでいますよ。
