【伊邪那岐命（イザナギ）】日本列島を生んだ国生みの父神｜揺るぎない「自分軸」を取り戻す

1. 【御利益】

日本神話における「父なる神」であるイザナギには、生命の誕生と繁栄に関わる多くの御利益があります。

• 延命長寿: 黄泉の国（死の世界）から生還し、禊（みそぎ）によって活力を取り戻した神話から、健康と長寿の象徴とされます。
• 夫婦円満・縁結び: 妻であるイザナミと共に、日本で最初の「夫婦の神」として国生みを行ったことから。
• 子孫繁栄・安産: 多くの神々や国土を生み出した生命力の強さにあやかります。
• 厄除け・開運: 黄泉の国での穢れを払い、天照大御神ら貴い神々を生んだことから、悪い流れを断ち切り運を開く力があるとされます。

2. 【概要と由来】

伊邪那岐命（イザナギノミコト）は、『古事記』や『日本書紀』の冒頭に登場する男神であり、日本の国土と神々の親神です。
名前の「イザナ」は「誘う（いざなう）」、「ギ」は男性を表すとされ、女神イザナミと共に天浮橋（あめのうきはし）から矛で混沌とした海をかき混ぜ、最初の島「淤能碁呂島（オノゴロジマ）」を作りました。

そこへ降り立ち、イザナミと夫婦の契りを結び、淡路島や本州などの「大八島（おおやしま）」と、山・海・風など自然を司る多くの神々を生み出しました。
まさに日本のルーツと言える、偉大な父神です。

3. 【詳細解説】

別名・別称

• 伊邪那岐神（イザナギノカミ）
• 伊弉諾尊（イザナギノミコト・日本書紀の表記）

特徴・シンボル

国生みの際に用いた「天沼矛（あめのぬほこ）」を持った姿で描かれることが多く、創造と武勇、そして威厳を象徴しています。

一方で、子供たち（神々）を見守る、優しくも力強い父親としての側面も持ち合わせています。

神話・エピソード：愛と別れ、そして浄化の物語

イザナギの物語は、創造の輝きだけでなく、深い悲しみと再生も描かれています。

国生み・神生みの最中、最愛の妻イザナミは、火の神を生んだ際の火傷が原因で亡くなってしまいます。
悲嘆に暮れたイザナギは、妻を連れ戻そうと、死者が住む「黄泉の国（よみのくに）」へと旅立ちました。 しかし、そこで変わり果てた妻の姿を見てしまい、恐怖から逃げ出してしまいます。

追ってくるイザナミに対し、千引の石（ちびきのいわ）で道を塞ぎ、現世と黄泉の国を完全に隔てました。
ここで二人は

「一日に千人を殺す」

「ならば一日に千五百人の産屋を建てる」

という言葉を交わし、これが人間の寿命と誕生の起源になったとされています。

その後、黄泉の国の穢れを落とすため、イザナギが川で「禊（みそぎ）」を行うと、左目から天照大御神（アマテラス）、右目から月読命（ツクヨミ）、鼻から須佐之男命（スサノオ）という、最も貴い三柱の神が生まれました。

失敗や悲しみを乗り越え、自身の身を清めることで、さらなる偉大な存在を生み出したイザナギの姿は、「リセットする力」や「次へと進む創造性」の大切さを私たちに教えてくれています。

4. 【金沢での関連寺社・スポット】

金沢市内および近郊において、イザナギノミコトにゆかりのある神社をご紹介します。

白山比咩神社（近隣：白山市）

金沢市の隣、白山市にある加賀一ノ宮・白山比咩神社（しらやまひめじんじゃ）も深い関わりがあります。

こちらの主祭神である「菊理媛尊（ククリヒメ）」は、黄泉の国でイザナギとイザナミが争った際、二人の間に入って仲裁をした（イザナギに何事か言葉をかけ、納得させた）神様です。

境内にはイザナギ・イザナミも配祀されており、夫婦円満や縁結びの総本山として、金沢観光と合わせて訪れる方が多い聖地です。

白山比咩神社（しらやまひめじんじゃ）

須々幾神社（金沢市）

金沢市北部、八田町にある須々幾神社（すすきじんじゃ）は、地域に根付く古社です。

実はこの神社の歴史には、かつて近隣にあった「多賀神社（イザナギ・イザナミを祀る）」が合祀（合併）されたという経緯があります。
現在も御祭神としてイザナギノミコトが祀られており、知る人ぞ知る金沢市内の参拝スポットといえます。
観光地化はされていませんが、静かに手を合わせたい方にはおすすめです。

• 住所: 石川県金沢市八田町丁57
• アクセス: JR金沢駅から車で約15分

須々幾神社（すすきじんじゃ）

全国の関連寺社

• 多賀大社（滋賀県）: イザナギ・イザナミを祀る全国の多賀神社の総本社。「お伊勢参らばお多賀へ参れ」と謳われる名社。
• 伊弉諾神宮（兵庫県淡路島）: 国生み神話の地、淡路島に鎮座。イザナギが余生を過ごしたとされる幽宮（かくりのみや）の跡地。

編集後記

日本の神様のトップといえるイザナギ様ですが、神話を読むと、奥さんに会いたくて黄泉の国まで行ってしまったり、その姿に驚いて走って逃げたりと、意外と人間味あふれる行動をとっていることに親しみを覚えます。

それでも最後にはしっかりと禊をして、最高神アマテラスを生み出すあたり、やはり「切り替え」と「整えること」が運を開く鍵なのだと感じさせられますね。

金沢の美味しいものを食べた後は、関連する神社で心を整えてみてはいかがでしょうか。