1. 【御利益】
大山津見神(オオヤマツミ)は、山、海、野のすべてを司る強大な力を持つ神様です。
その活動範囲の広さから、多岐にわたる御利益が期待されます。
- 山林守護・農業守護: 山の恵みを管理し、豊かな実りをもたらします。
- 商売繁盛: 酒造りの神としての側面から、醸造業や飲食店、ビジネスの発展を助けます。
- 航海守護・交通安全: 山だけでなく海の神としての性質も持ち(別名:ワタシ大神)、旅の安全を守ります。
- 縁結び・夫婦和合: 多くの娘を立派に育て上げ、嫁がせた実績から、良縁や家庭円満の御神徳もあります。
2. 【概要と由来】
大山津見神(オオヤマツミ)は、『古事記』や『日本書紀』に登場する、日本神話における「山の神々の総元締」といえる存在です。 イザナギとイザナミの間に生まれ、すべての山を管理する最高司令官としての地位にあります。
しかし、ただ威厳があるだけの神様ではありません。
美しき女神・木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)の父でもあり、娘の誕生を祝って甘酒を造ったという伝承から、日本で初めて酒を造った「酒解神(サカトケノカミ)」としても崇敬されています。
山のように動じない強さと、子を想う親の情愛を併せ持った、非常に人間味あふれる神様です。
3. 【詳細解説】
別名・表記
- 大山祇神(オオヤマツミ)
- 酒解神(サカトケノカミ)
- 和多志大神(ワタシノオオカミ)
特徴・シンボル
一般的に、山岳信仰の象徴として、威厳ある武人の姿や、稲穂や酒器を持った姿で描かれます。
山の神であると同時に、山から流れ出る水が海へ注ぐことから、海の神としての性格も併せ持ちます。
「山と海をつなぐ神」として、自然界の循環そのものを象徴しています。
神話・エピソード:「バナナと石」の運命
オオヤマツミを語る上で欠かせないのが、天孫降臨(てんそんこうりん)にまつわる切ないエピソードです。
天照大御神の孫であるニニギノミコトが地上に降りた際、オオヤマツミは二人の娘を彼に嫁がせようとしました。一人は絶世の美女コノハナサクヤヒメ(桜の花の象徴)、もう一人は岩のように長命なイワナガヒメ(岩の象徴)です。
ところが、ニニギノミコトは容姿の美しいコノハナサクヤヒメだけを選び、イワナガヒメを「醜い」として実家へ送り返してしまったのです。 これにオオヤマツミは激怒し、嘆きました。
「二人を一緒に差し上げたのは、天孫の命が岩のように永く、花のように栄えるようにとの願いからだった。イワナガヒメを返したことで、これから天孫(天皇家の祖先)の寿命は、花のように儚いものになるだろう」
この予言通り、神々の子孫である人類には「寿命」が生まれたとされています。父としてのプライドと娘への愛、そして生命の理(ことわり)を説いた、非常に重要なエピソードです。
また、コノハナサクヤヒメが富士山の神として有名ですが、もともと富士山の権利を持っていたのは父であるオオヤマツミであり、愛する娘にその座を譲ったという説もあります。
かなりの親バカ(良い意味で)な一面も、この神様の魅力の一つです。
4. 【金沢での関連寺社・スポット】
金沢市内において、大山津見神を主祭神として祀る大規模な観光神社は少ないですが、山間部や地元の氏神様として深く根付いています。特に「ものづくり」や「酒造り」の文脈で金沢との接点が見出せます。
金沢市内で大山津見神に出会える実在の神社
金沢市内には「大山祇神社」という単独の名前を持つ神社はほぼありませんが、以下の神社にて主祭神や配祀神として祀られています。
1. 麓山祇神社(ふもとやまづみじんじゃ)
- 鎮座地: 金沢市観音堂町ヲ35
- 解説: 社名にある「麓山祇(ふもとやまづみ)」は、大山津見神の別名です。大山津見神を主祭神として祀る、金沢市内では数少ない貴重な神社です。観音堂町は田園風景が広がる地域で、まさに「山と野の神」として地域を守っています。
- アクセス: 北陸自動車道・金沢西ICから車で約5~10分ほどの距離です。
2. 日吉神社(ひよしじんじゃ)
- 鎮座地: 金沢市大桑町ト22
- 解説: 大桑(おおくわ)地区にある日吉神社では、大山咋神(オオヤマクイ)と共に、大山祇神(オオヤマツミ)が配祀されています。大桑は犀川の上流に位置し、山間部への入り口でもあるため、山の神としての信仰が篤い場所です。
【参考】近隣(石川県内)の有名な大山祇神社
もし「大山祇神社」という名前の神社へのお参りを強く希望される場合は、金沢市の隣、小松市に有名な古社があります。
- 大山祇神社(小松市)
- 鎮座地: 石川県小松市大野町
- 古くから「おんねさん(大野さん)」と親しまれ、九谷焼の陶工たちからも信仰を集めた歴史ある神社です。
金沢の酒造りとオオヤマツミ
金沢は、加賀百万石の米と白山水系の水に恵まれた酒処です。
市内の酒造会社や酒蔵の神棚には、酒造りの祖神である「松尾様(大山咋神)」と共に、この「大山祇神(酒解神)」が祀られていることが多くあります。
金沢の美味しい地酒を味わう際は、この神様に感謝すると、より味わい深くなるかもしれません。
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編集後記
画像にある「笑う門には幸い来る」という言葉、心に響きますよね。
実はオオヤマツミ、神話では娘を返されてブチ切れるという激しい一面も見せていますが、それは裏を返せば「愛が深い」ということ。
普段は山のようにどっしりと構え、「笑う門には福来る」と私たちを優しく見守ってくれているお父さんのような存在なのかもしれません。
金沢の山並みを眺めたり、夜に美味しい地酒を飲んだりする時は、「オオヤマツミさん、ありがとう!」と思い出してみてくださいね。
金沢 寺社仏閣めぐり 