1. 【御利益】
- 国家安穏(国の平安と安定を維持する力)
- 国土守護(居住する土地や地域を災いから守る)
- 自己創造・開運(困難な状況から自らの力で未来を切り拓く)
- 農耕・産業振興(大地がもたらす恵みと豊かさを司る)
2. 【概要と由来】
白日別(シラヒワケ)と豊日別(トヨヒワケ)は、日本最古の歴史書である『古事記』の「国生み」神話に登場する神々。
伊邪那岐命(イザナギ)と伊邪那美命(イザナミ)が日本の国土を形作る際、筑紫島(現在の九州)を産みました。
この筑紫島は「体は一つ、顔が四つ」という異形な姿で表現され、そのうちの二つの顔(霊性)が、筑紫国のシラヒワケと、豊国のトヨヒワケです。
これら二神は、単なる概念としての神ではなく、特定の「土地」そのもの、あるいはその土地に根ざして生きる人々を護り、活力を与える実在的な守護神として古くから崇められてきました。
3. 【詳細解説】
別名・別称
- 白日別(シラヒワケ):筑紫国の顔。一部では猿田彦命(サルタヒコ)や五十猛命(イタケル)と同一視、あるいは関連が深いとされる。
- 豊日別(トヨヒワケ):豊国の顔。太陽のような神格を持つ男性神として捉えられることもある。
特徴・シンボル
これらの神々は「土地の顔」としての性質が強く、目に見える特定のシンボル以上に、私たちが踏みしめる「大地そのもの」が彼らの象徴です。
また、その名称に含まれる「日」の字が示す通り、太陽の恵みが土地に降り注ぎ、豊かな生命力を育む様子を擬神化した存在とも言えます。
神話・エピソード
神話において、筑紫島(九州)が生まれた際、シラヒワケは「筑紫国(現在の福岡県の一部)」を、トヨヒワケは「豊国(現在の大分県と福岡県の一部)」を司る顔として現れました。
この記述は、古代日本において各地域に固有の霊的な個性が認められていたことを示唆しています。
特筆すべきは、彼らが「創造」のプロセスにおいて誕生した神であるという点です。
「未来や毎日は自分たちで創れる」という教えは、混沌とした海から島々を産み落とした壮大なエネルギーを、私たちの日常に引き寄せた解釈です。
たとえ現状が厳しくとも、この二神が象徴する「国土の生命力」を感じることで、新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれるでしょう。
4. 【金沢での関連寺社・スポット】
金沢市内において、白日別(シラヒワケ)と豊日別(トヨヒワケ)を直接の主祭神として祀る神社は、現在の調査では確認されていません。これら二神は九州地方の土地神としての性格が非常に強いためである。
しかし、彼らの「親神」であり、万物創造の根源である伊邪那岐命(イザナギ)や、シラヒワケと関連が深いとされる猿田彦命(サルタヒコ)を祀る神社は、金沢市内にも数多く存在する。
石浦神社(金沢市本多町)
金沢最古の神社とされる石浦神社には、シラヒワケとの関連が指摘される「大物主大神」や「天照大御神」などが祀られています。
土地を鎮め、人々を導くという精神性は、この地の歴史と深く結びついています。
宇多須神社(金沢市東山)
シラヒワケと同一視されることもある導きの神「猿田彦命」を祀る神社です。
新しい物事を始める際や、自分自身の未来を「創造」したいと願う時には、この地を訪れるのがおすすめです。
白山比咩神社(白山市)
金沢の信仰の根源である白山比咩神社には、伊邪那岐命の配偶神である「菊理媛尊(ククリヒメ)」と共に、親神である伊邪那岐命も祀られています。
九州の地を産んだ神々の系譜に繋がる、北陸最大のパワースポットです。
全国の主な関連神社
- 筑紫神社(福岡県筑紫野市):白日別を祀る。
- 豊日別宮(福岡県行橋市):豊日別を祀る。
編集後記
今回ご紹介した白日別と豊日別という神様、お名前に「日」という文字が入っていて、聞くだけで心がパッと明るくなるような響きがありますよね。
九州の土地を擬人化した神様ということで、遠く離れた金沢とは一見縁が薄そうに思えますが、実は「国生み」という共通の物語で繋がっています。
「未来、毎日は創れます」というメッセージ。
これは現代を生きる私たちにとって、とても力強いエールではないでしょうか。
行き詰まりを感じた時、足元の地面をしっかりと踏みしめて、「この大地が私を支えてくれている」と感じるだけで、少しだけ前を向ける気がします。
金沢の古い街並みを歩きながら、その土地が持つ歴史と生命力に触れてみてくださいね。
金沢 寺社仏閣めぐり 
