【事代主神:コトシロヌシ】笑顔の裏に秘めた決断力!商売繁盛を導く「えびす様」の正体とは?

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1. 【御利益】

  • 商売繁盛:えびす様として広く信仰され、商業やビジネスの発展を助けます。
  • 福徳円満:人との調和を保ち、幸福と利益をもたらします。
  • 開運招福:滞った運気の流れを変え、良い方向へ導くとされます。
  • 大漁追福:元来は漁業の神様であり、海の恵みや豊かさを象徴します。

2. 【概要と由来】

事代主神(コトシロヌシノカミ)は、日本神話における「国譲り」の重要局面で、大きな決断を下した神様です。

大国主神(オオクニヌシ)の第一子であり、その名の「コトシロ(事代)」は「言葉を知る(委任を受けて語る)」という意味を持ち、父神に代わって神意を伝える託宣の神としての性格を持っています。

一般的には「えびす様」として親しまれ、福々しい笑顔で鯛を抱える姿が有名ですが、神話の中では非常に潔く、重大な局面を収める知的な役割を果たしました。

中世以降、七福神信仰が広まるにつれて、市場の守り神や商売繁盛の神としての信仰が定着していきました。


3. 【詳細解説】

別名・別称

  • 八重事代主神(ヤエコトシロヌシノカミ)
  • 恵比寿神(エビスシン)
  • 一言主神(ヒトコトヌシノカミ/※同一視されることがある)

特徴・シンボル

象徴的な姿は、烏帽子をかぶり、右手に釣り竿、左手に大きな鯛を抱えた笑顔のえびす様そのものです。
これは、彼が神話の中で釣りをしていたことに由来します。

神話・エピソード:笑顔の奥にある「潔い決断」

事代主神が最も輝きを放つのは、古事記における「国譲り(くにゆずり)」の場面です。

高天原(天界)からタケミカヅチという武神が降りてきて、オオクニヌシに対して「この国を天つ神に譲りなさい」と迫りました。オオクニヌシは即答を避け、「息子であるコトシロヌシが答えるだろう」と言いました。

その時、コトシロヌシは美保ヶ崎(島根県)で呑気に釣りを楽しんでいました。
しかし、タケミカヅチが現れ問い詰めると、彼は一切の争いをせず、「承知しました。この国は差し上げましょう」と即座に承諾したのです。

そして、彼は乗っていた船を足で踏んで傾け、「天の逆手(あまのさかて)」という呪術的な柏手を打ち、青柴垣(あおふしがき)という結界を作ってその中にお隠れになりました。

一見すると「逃げた」ようにも見えますが、これは「父の意向を汲み、無益な争いを避けて国を平和的に譲る」という極めて高度な政治的判断であり、自己犠牲的な英雄的行為とも解釈されます。
普段は釣りを愛する穏やかな神様ですが、いざという時には誰よりも冷静に状況を見極める「知恵と決断の神」なのです。

【豆知識】えびす様は二人いる?「事代主」と「蛭子」

実は「えびす様」と呼ばれる神様には、大きく分けて二つのルーツがあることをご存知でしょうか?

  1. 事代主神(コトシロヌシ):大国主神の御子神。釣りが好きで、平和的解決を選んだ「国譲りの神」。島根県の美保神社などが総本宮です。
  2. 蛭子神(ヒルコ):伊邪那岐・伊邪那美の御子神。海に流された後に神となり帰還した「再生の神」。兵庫県の西宮神社などが総本宮です。

どちらも同じ「えびす顔」で福をもたらす神様として信仰されていますが、「和を尊ぶ心(事代主)」と「困難を乗り越える力(蛭子)」という、少し違ったストーリー背景を持っています。

金沢の神社でも、書き手が「事代主神」としているか「蛭子神」としているかによって、その神社の歴史や宮司さんの想いが垣間見えるかもしれません。
参拝の際は、由緒書きのご祭神名をじっくりチェックしてみるのも一興です。


4. 【金沢での関連寺社・スポット】

金沢は加賀百万石の城下町であり、商売繁盛を願う商人文化が根付いています。
事代主神(えびす様)をご祭神として祀る、あるいは深く関連する実在の神社をご紹介します。

市姫神社(いちひめじんじゃ)

金沢市民の台所「近江町市場」の向かいに鎮座する神社です。

  • 所在地:金沢市尾張町2丁目2-22(近江町市場「市姫神社口」そば)
  • 解説:ご祭神として蛭子神(事代主神)、大市比売命、大己貴神を祀っています。まさに市場の守護神であり、金沢の商売繁盛を支える中心地です。近江町市場で美味しい海鮮を楽しんだ後は、必ずこちらで手を合わせましょう。
市姫神社(いちひめじんじゃ)

宇多須神社(うたすじんじゃ)

ひがし茶屋街の奥に鎮座する、金沢五社のひとつです。

  • 所在地:金沢市東山1丁目30-8
  • 解説:主祭神の一柱として八重事代主神をお祀りしています。かつては「毘沙門さん」として親しまれましたが、現在は多種多様な神様と共にえびす様も祀られており、芸事や商売の神様として茶屋街の人々から崇敬されています。
宇多須神社(うたすじんじゃ)

石浦神社(いしうらじんじゃ)

金沢最古の宮として知られ、兼六園や21世紀美術館のすぐそばにあります。

  • 所在地:金沢市本多町3丁目1-30
  • 解説:境内社や毎年11月に行われる「酉の市」において、商売繁盛の神として蛭子神(えびす様)がお祀りされています。現代的なポップな授与品も多く、観光客に大人気のスポットです。
石浦神社(いしうらじんじゃ)

全国の主要な関連神社

※当サイト内記事:野蛟神社(金沢市神谷内町)の御祭神にも事代主命が含まれています。
少しマニアックな神社巡りをしたい方におすすめです。

野蛟神社(ぬづちじんじんじゃ)

編集後記

コトシロヌシ様のエピソードを知ると、「えびす顔」の奥にある強さを感じずにはいられませんね。

普段はニコニコと釣りを楽しみながらも、ここぞという時には周りのために自分が退く決断ができる。
そんな「大人の余裕」と「協調性」こそが、商売繁盛や円満な人間関係の秘訣なのかもしれません。

金沢の美味しい魚を食べるとき、ふとこの神様のことを思い出してみてくださいね。


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