目次 閉じる
1. 【御利益】
住吉三神は、その誕生の経緯から「浄化」と「守護」の力が極めて強いとされています。
- 海上安全・航海守護:古くから船乗りや漁師たちの絶対的な守り神。
- 商売繁盛・貿易守護:海を越えた取引から転じ、現代ではビジネスや流通の成功を。
- 厄除け・災難除け:黄泉の国の穢れを祓った際に出現したことから、強力な浄化力を誇る。
- 学問・和歌・芸能上達:オリオン座の三つ星と同一視され、スター(人気者)を目指す人を導く。
2. 【概要と由来】
住吉三神(すみよしさんじん)は、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が亡き妻を追って訪れた黄泉の国から帰り、その穢れを洗い流す「禊(みそぎ)」を行った際に誕生しました。
水底で生まれた「底筒男命(そこつつのおのみこと)」、
中ほどで生まれた「中筒男命(なかつつのおのみこと)」、
そして水面で生まれた「表筒男命(うわつつのおのみこと)」の三柱を総称して呼びます。
彼らは海を支配するだけでなく、古くから航海の指針となる「星」の化身とも考えられてきました。
3. 【詳細解説】
別名・別称
住吉大神(すみよしのおおかみ)、墨江之三前大神(すみのえのみまえのおおかみ)とも呼ばれます。
特徴・シンボル
住吉三神の最大の特徴は、夜空に並ぶオリオン座の「三つ星」との繋がりです。
「筒(つつ)」という音は古語で「星」を意味するとも言われ、彼らはまさに暗い夜の海を照らす光そのものでした。
また、三柱揃って「美男子の三兄弟」として語られることもあり、その凛とした姿は古来、多くの人々に慕われてきました。
神話・エピソード

神話の中で彼らは、伊弉諾尊が「筑紫の日向の小戸の阿波岐原」で禊をした瞬間に現れました。
最悪の場所から脱し、自分を清めようとした時に生まれた神様だからこそ、「どん底から這い上がる力」や「現状を打破する強さ」を授けてくれると言われています。
また、後世には神功皇后の三韓出兵を助けたことでも知られ、和歌を愛する神としての側面も持ちます。
荒ぶる海を鎮める力と、繊細な歌心を解する心。その両極を併せ持つのが住吉三神の魅力です。
4. 【金沢での関連寺社・スポット】
金沢市内には、住吉三神を祀り、地域の人々に長く親しまれている神社がいくつか存在します。
安江住吉神社(やすえすみよしじんじゃ)
- 住所:石川県金沢市北安江2丁目15-37
- 特徴:奈良時代からの歴史を持つ古社です。かつてこの地は「牛が森」と呼ばれ、北前船の船頭たちが海からこの森を目印に航海の安全を祈ったという、住吉三神らしいエピソードが残っています。
現在は「人形供養」の神社としても有名で、持ち主の想いがこもった品々を優しく祓い清めてくださいます。
武蔵住吉神社(むさしすみよしじんじゃ)
- 由緒: 金沢の商業の象徴である武蔵ヶ辻を見守る。
2021年7月に老朽化による改修工事が行われ、その間ご神体は縁の深い安江八幡宮へ仮遷座された。
同年10月14日に本遷座が執り行われ、現在は美しく再生された社殿で、商売繁盛や地域の安寧を祈る人々に静かな癒やしを提供している。 - 住所: 石川県金沢市武蔵町15-1(金沢エムザ3階 屋上庭園)
全国的な関連神社
- 住吉大社(大阪府大阪市):全国の住吉神社の総本社。
- 安宅住吉神社(石川県小松市):金沢から少し足を伸ばした場所にあり、「勧進帳」の舞台として「難関突破」の御利益で全国的に知られています。
編集後記:筆者の独り言
住吉三神の解説を書いていて、「今ある小さな幸せに気付いていますか?」という言葉が深く心に響きました。
私たちはつい「もっと遠くへ」「もっと素晴らしい未来を」と、遠くの星ばかりを見上げてしまいがちです。
けれど、足元の水底から水面までを司る住吉三神は、自分のすぐ周りにある幸せを大切にすることを教えてくれている気がします。
金沢の街を歩くとき、ふと住宅街の森に足を止めて、この三兄弟の神様に「今の幸せ」を報告してみるのも素敵ですね。
金沢 寺社仏閣めぐり 
