平安時代の伝説的陰陽師、安倍晴明。
星を読み、目に見えない理(ことわり)を整えた彼の知恵は、実は私たちが暮らす金沢の街づくりにも深く関わっています。
今回は、晴明公の神秘的な生涯と、金沢でその息吹を感じられるスポットをご紹介します。
1. 【御利益】
主要なご利益をまとめました。特に「守護」の力が強いのが特徴です。
- 魔除け・厄難消除:悪しきものを退け、降りかかる災いを未然に防ぐ。
- 方位除け:転居や旅行など、方角による凶事から身を守る。
- 学業成就・勝負運:天文暦学を極めた知恵により、本質を見抜く力を授ける。
2. 【概要と由来】
安倍晴明(921年〜1005年)は、平安時代中期に活躍した実在の天文学者であり、日本で最も有名な陰陽師です。
朝廷の信頼も厚く、天文博士として国家の安泰を支えました。
伝説の出自:葛の葉伝説
晴明の母は、和泉国(大阪)の信太の森に住む白狐「葛の葉」であると伝えられています。
幼名は童子丸。
幼い頃から人には見えないもの(式神や鬼)を見る力を持ち、陰陽道の大家・賀茂忠行に師事。
85歳という、当時としては驚異的な長寿を全うしました。
3. 【詳細解説:晴明をめぐる三つの伝説】
晴明公の並外れた力を示す、有名な言い伝えを深掘りします。
その1:木の葉で蛙を……「恐ろしき呪術の力」

ある時、若者たちから「術で人を殺せるか?」と問われた晴明は、
「たやすく殺せますが、生き返らせる術は知らぬので罪作りなことはしたくない」と答えました。
しかし無理に実演を迫られ、庭にいた蛙に草の葉を投じます。
すると、葉が触れた瞬間に蛙は跡形もなく潰れてしまいました。
彼の力が現実を動かす強大なものであったことを示す逸話です。
その2:箱の中身を入れ替える?「ライバル・道満との対決」

宿敵・蘆屋道満(あしやどうまん)と、箱の中身を当てる術比べをした際のお話です。
道満が「15個のミカンが入っている」と予言したのに対し、晴明は「15匹のネズミだ」と答えました。
箱を開けると、そこにはミカンが。
しかし次の瞬間、ミカンは晴明の術によってネズミに姿を変え、四方八方へ逃げ出したのです。
その3:妻も怖がった?「橋の下の式神(しきがみ)」

晴明は、人のように動く精霊「式神」を自在に操りました。
しかし、その姿があまりに異形であったため、彼の妻は怖がって家に置くのを嫌がったといいます。
困った晴明は、自宅近くの橋の下に式神を住まわせ、必要な時だけ呼び出していました。
この橋は「一条戻橋」として今も京都に残っています。
4. 【金沢での関連スポット・全国の聖地】
金沢市内に直接の神社はありませんが、
彼が確立した「陰陽道」や「白狐伝説」の視点で巡れるスポットをご紹介します。
【編集後記】
正直にお話しすると、今回の記事を書きながら、私の中で安倍晴明公へのイメージがガラリと変わりました。
映画や小説で描かれる、クールで完璧な「最強の陰陽師」像ももちろん素敵です。
でも、木の葉で蛙を潰すほどの恐ろしい力を持っていながら、奥様を怖がらせないために、あの異形の式神たちをそっと橋の下に隠していたなんて! 笑
そんな人間味あふれる、ちょっと不器用で優しい一面を知ると、1000年前の天才が急に身近で愛おしい存在に感じられてきませんか?
私は資料を読みながら、思わずクスッとしてしまいました。
そんな晴明公の知恵が、この金沢の街にも息づいていると思うとワクワクします。
私も最近、何気ない交差点や、ふと入った静かな路地裏で
「もしかして、ここも何かの結界の境目?」
「この道の角度には意味があるのかも…」
なんて想像しながら歩くようになりました。
すると不思議なことに、いつもの見慣れた景色が一気にミステリアスな冒険の舞台へと変わるんです。
晴明公が最も大切にした「欲に捉われない正しい心」。
それは、複雑な現代を生きる私たちにとっても、何より強力な「最強のお守り」かもしれませんね。
ぜひ皆さんも、金沢の神社を巡りながら、時空を超えた陰陽師のパワーを肌で感じてみてください。
皆様の旅に、素敵なご加護がありますように。
金沢 寺社仏閣めぐり 