概要・由来
この賀茂神社の歴史は古く、記録によれば、敏達天皇2年(573年頃)に田んぼ(圭田)57束が奉納されたのが始まりとされています。その後、天平勝宝5年(753年)に「加茂」という地に移り、さらに大同元年(806年)には鉢伏という場所に移りました。翌年の大同2年(807年)には神のお告げ(神託)を受けて現在の場所(かほく市横山)に落ち着いたと伝えられています。
平城天皇の時代には、天皇の祈願所として広大な土地(6200歩余)が寄進され、醍醐天皇の延喜5年(905年)にはさらに広大な田地(360町歩)が与えられました。また、神社を管理する十二坊と三人の神主が置かれたそうです。
延喜式(927年に完成した律令の施行細則)の制度では、国幣の小社という格式の高い神社に位置づけられました。「国幣の小社」とは、国から幣帛(神に供える品物)が供えられた中小規模の神社のことです。
戦国時代の天正11年(1583年)、当時の藩主であった前田利家公が、羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)の命令を受けて、京都の賀茂別雷神社(上賀茂神社)にこの地域の十ヶ村を寄進しました。これは、京都の上賀茂神社と深い関係があったことを示しています。
しかし、翌年の天正12年(1584年)に起こった末森城の戦いにおいて、兵火によって社殿をはじめ、貴重な古文書や宝物などが焼失してしまいました。
その後、江戸時代の万治元年(1658年)に本殿と拝殿が再建されました。当時、この神社の末社(系列の神社)は34社もあったそうです。また、正徳年間には、藩主の前田綱紀公によって境内地が一町二反十三歩が追加で寄進されました。
明治時代に入ると、明治5年(1872年)に郷社、明治14年(1881年)に県社という社格に位置づけられました。明治39年(1906年)には、神饌幣帛料供進神社に指定され、国から神饌や幣帛が供えられるようになりました。そして、昭和6年(1931年)には、北陸に鎮座してから1400年を記念する大祭が執り行われました。
延喜式内社
京都山城国中賀茂社遷座
北陸道総鎮守
加賀国金津荘総氏神
旧社格
県社
鎮座地
かほく市横山リ119-1
電話
076-285-0365
拝観料金
無料
御祭神
賀茂別雷神
貴布禰神
天照大神
行事
左義長、七五三など
- 例祭:6月5日
例祭は、神社で最も重要とされる祭りで、年に一度、日を決めて行われます。
賀茂神社では6月5日に行われるようです。
例祭では、神事(祝詞奏上、神楽奉納など)が行われたり、地域によっては神輿渡御などが行われたりします。
見どころ
1. 歴史を感じる境内と社殿
- 創建から遷座の歴史: 敏達天皇の時代に起源を持ち、何度かの遷座を経て現在の地に落ち着いたという歴史は、境内に足を踏み入れるだけでも感じられるでしょう。長い年月を経てこの地を守り続けているという重みを感じ取ってみてください。
- 本殿と拝殿: 万治元年に再建された本殿と拝殿は、江戸時代の建築様式を今に伝える貴重な遺構です。細部の装飾などにも注目してみると、当時の職人たちの技術の高さを感じることができます。平成に入ってからの改修も行われているため、美しさも保たれています。幣殿の天井には雲龍が2頭描かれています。
- 由緒を伝える碑や説明板: 境内には神社の由緒や歴史を説明する碑や案内板が設置されていることが多いです。これらを読んでから境内を回ると、より深く神社について理解することができます。
2. 京都との繋がりを感じさせる要素
- 賀茂別雷神を祀る: 京都の上賀茂神社と同じ祭神である賀茂別雷神を祀っていることは、この神社が京都と深い繋がりを持っていることを示しています。京都の賀茂神社を訪れたことがある方は、その繋がりを感じながら参拝するのも良いでしょう。
- かつての寄進: 戦国時代に前田利家が京都の賀茂神社にこの地の村々を寄進したという歴史も、両社の関係性を物語っています。
3. 自然豊かな環境
- 社叢: 賀茂神社の社叢(神社の森)は、かほく市の天然記念物に指定されています。樹齢を重ねた木々が生い茂り、静かで神聖な雰囲気を醸し出しています。参拝の際には、木々の間を歩きながら自然のパワーを感じてみてください。
- 四季折々の風景: 社叢は四季折々の表情を見せてくれます。春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉など、季節ごとに異なる美しい風景を楽しむことができます。天皇皇后様の御成婚記念に植えられた桜もあります。
4. その他の見どころ
- 末社: かつて34社もの末社があったという歴史も、この神社の規模の大きさを物語っています。現在もいくつかの末社が残っているかもしれませんので、探してみるのも面白いでしょう。
- 祭事: 年間を通して様々な祭事が行われています。祭りの時期に合わせて訪れると、より賑やかな神社の様子を見ることができます。
- 周辺の史跡: かほく市内には上山田貝塚などの史跡もありますので、賀茂神社と合わせて巡ってみるのもおすすめです。
参拝のポイント
- 感謝の気持ちを伝える: 神社は神聖な場所です。参拝する際には、感謝の気持ちを伝えることを意識しましょう。
- 静かに参拝する: 他の参拝者の迷惑にならないよう、静かに参拝するように心がけましょう。
- マナーを守る: 手水舎での手水、お賽銭の作法など、基本的なマナーを守って参拝しましょう。
これらの見どころを参考に、ぜひ賀茂神社を訪れてみてください。歴史と自然に触れ、心静かな時間を過ごせるはずです。
神徳(御利益)
1. 賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)
賀茂別雷神は、雷(いかずち)の神様であり、力強い神威を持つとされています。
上賀茂神社(賀茂別雷神社)の主祭神としても有名です。(世界文化遺産)
主な御神徳は以下の通りです。
厄除け・雷除け:
雷の神様であることから、雷難除けはもちろん、広く災厄を祓う神として信仰されています。
電気産業の守護:
近代では、電気や雷に関係することから、電気産業や電子機器の守護神としても信仰されるようになりました。
必勝祈願・武運長久:
力強い神威から、勝負事の勝利や武運長久を祈願する対象としても信仰されています。
方除け・鬼門除け:
京都の守護神、鬼門の守り神としても信仰され、方除け(方位の災いを除く)の祈願も多く行われます。
2. 貴布禰神(きふねのかみ)
貴布禰神は、水の神様であり、京都の貴船神社が総本社として知られています。
農業、漁業、水運など、水に関わるあらゆる事柄の守護神として信仰されています。
主な御神徳は以下の通りです。
水の恵み・水源の守護:
雨乞いの神、水の恵みをもたらす神として信仰されています。農業の豊穣、水不足の解消などを祈願します。
航海安全・水難除け:
水に関わることから、航海安全や水難除けの神としても信仰されています。
縁結び:
貴船神社は縁結びの神としても有名で、男女の縁だけでなく、仕事や人との良い縁を結ぶご利益があるとされています。
3. 天照大神(あまてらすおおみかみ)
天照大神は、日本神話における最高神であり、太陽を神格化した女神です。
伊勢神宮の内宮に祀られていることでも知られています。主な御神徳は以下の通りです。
国家安泰・皇室繁栄:
日本の最高神として、国家の安泰と皇室の繁栄を祈願する対象として古くから崇敬されています。
五穀豊穣:
太陽の恵みによって作物が育つことから、五穀豊穣の神としても信仰されています。
開運招福・厄除け:
太陽の光はあらゆるものを照らし、邪気を祓う力を持つと考えられているため、開運招福や厄除けの神としても信仰されています。
賀茂神社の御神徳まとめ
賀茂神社では、これらの神様が共に祀られているため、厄除け、開運、水の恵み、五穀豊穣、勝運など、幅広いご利益をいただけると考えられます。特に、雷除け、電気産業の守護、方除けなどは、賀茂別雷神の特色と言えるでしょう。
神社を参拝する際には、これらの神様の御神徳を意識し、感謝の気持ちを伝えることで、より一層のご利益をいただけるかもしれません。
補足
神社の由緒や祭神の組み合わせによって、各神社の御神徳の強調される部分が異なる場合があります。
神社の祭事や神事に参加することで、より深く神様との繋がりを感じることができるでしょう。
駐車場・アクセス
・広い駐車場があります
・JR七尾線横山駅から徒歩8分
・産文センター前バス停から徒歩30分(2.4km)
授与品・御朱印
御朱印あり
御守り多数あり
ウェブサイト
石川県神社庁
https://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/shrine/j1898/
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