1. 【御利益】
ミヅハノメ(弥都波能売神)は、生命に不可欠な「水」を司ることから、多岐にわたる恩恵をもたらすとされています。
- 祈雨・止雨(適度な雨をもたらし、水害を防ぐ)
- 五穀豊穣・商売繁盛(水が流れるごとく富をもたらす)
- 安産・子授け(羊水に通じる水の力で母子を守る)
- 病気平癒・健康長寿(清らかな水で心身を浄化する)
2. 【概要と由来】
弥都波能売神(ミヅハノメノカミ)は、日本神話における代表的な「水の女神」です。
『古事記』では、国生みの女神・イザナミが、火の神カグツチを生んで火傷を負い、病臥した際に生まれたと記されています。 苦しみの中で生まれた尿(ゆまり)から、農作物の神であるワクムスビと共に誕生したことから、単なる水神にとどまらず、作物を育てるための「灌漑用水」や「肥料」を司る神としても信仰されてきました。
万物の生成と育成に深く関わる、母性愛に満ちた慈愛の神様です。
3. 【詳細解説】
別名・別称
- 罔象女神(ミヅハノメノカミ)
- 水波能売命(ミヅハノメノミコト)
特徴・シンボル
清らかな川、湧き水、井戸など「流れる水」そのものがこの神様のシンボルです。
絵画などで描かれる際は、水辺に佇む美しい女性の姿で表されることが多く、手には水瓶や稲穂を持つこともあります。
神話・エピソード:命をつなぐ「水」の物語
神話において、ミヅハノメの誕生は悲劇的な場面として描かれます。
母であるイザナミが火の神によって命を落とそうとするその最期に、あふれ出る生命力として誕生したのがミヅハノメでした。これは「火(破壊)」に対して「水(再生・鎮静)」が生まれたことを象徴しており、死と再生のサイクルの中で、命をつなぐ重要な役割を担っていることを示しています。
また、一説によると、夫神とされるミヅハノオと共に地下水の治水を司り、父イザナギと母イザナミから「地下水は天上の聖なる水であるから、お前たちがこれを管理し、地上の植物を育てる助けとなれ」という重要な使命を託されたとも伝えられています。
さらに、この神様は伝統工芸とも深い関わりがあります。
隣県である福井県の越前和紙の里では、ミヅハノメを「川上御前」と呼び、村人に紙漉きの技を教えた神様として大切に祀っています。
美しい水がなければ良質な紙が生まれないように、文化や芸術の根底をも支える繊細な女神様なのです。
4. 【金沢での関連寺社・スポット】
金沢市内にも、この清らかな水の女神を祀る重要な神社が実在します。
貴船神社(金沢市有松)
金沢市有松(ありまつ)の住宅街に鎮座する「貴船神社」は、罔象女命(ミヅハノメ)を主祭神として祀っています。
京都の貴船神社は有名ですが、金沢のこの地でも古くから「火災除け」の信仰を集めてきました。
由緒によると、昔からこの有松の地には火災がなかったと言い伝えられており、それは水の神様であるミヅハノメのご加護によるものとされています。
- 住所: 石川県金沢市有松1丁目2-1
秋葉神社(金沢五社の一つではないが、火防の神として著名)
金沢市内にある秋葉神社(観光スポットとして知られる場所など)では、火の神様と共に、火を鎮めるための「水神」として罔象女神が合わせ祀られていることがあります。
火と水、対となる力を調和させる存在として信仰されています。
全国の関連寺社
編集後記
水の神様というと、どこか龍神のような荒々しさをイメージすることもありますが、ミヅハノメは「母の体から生まれた」という経緯もあり、とても優しく包み込むようなエネルギーを感じます。
金沢は用水路が美しい「水の都」。街を歩きながらふと目にする水の流れに、ミヅハノメの優しい息吹を感じてみてはいかがでしょうか。
金沢 寺社仏閣めぐり 
