概要・由来
勧請は、延暦年中(781~805)の創建とされている。「宝暦九年大野湊神社宮司河崎出羽守の金沢藩への届出号帳に記載」社記に「加賀藩主前田利常本社を尊信して以来、前田家に出産ある時は常に当社に祈願あり、当社産土の八州原の藁を以って産褥に用うるを例とせり。故を以って古来安産の神と称して近郷の尊信厚く社頭常に賓者絶えざるなりといえり」と記され子安の藁が転じて「安藁(ヤスワラ)」となり安原の地名の根元とされている。明治以前は、当社の外に諏訪社、八幡社の二社があり、諏訪社は当社の西の砂丘上に鎮座され「西の宮」と呼ばれており、八幡社は平治年中(1159)の勧請とあるが、いつの間にか破却して諏訪社に合祀された。諏訪社は後に「大濱神社」と改称し明治40年に当社に合祀された。境内末社として稲荷社、鎮火社をおまつりしてあり千百有余年の古い歴史と伝統をもった当社の御神徳はいよいよ高く、とこしえに町民の平和と町の繁栄を守り給うている。
子安神社の歴史:安産の神様として地域を見守る
子安神社は、延暦年間(781~805年)に創建されたと伝えられる、1100年以上の歴史を持つ古い神社です。この長い歴史の中で、特に安産の神様として地域の人々に深く信仰されてきました。
前田家との繋がり:安産の藁(やすわら)の由来
江戸時代、加賀藩主の前田利常公がこの神社を深く信仰し、前田家で出産がある際には必ず子安神社で祈願を行い、神社の氏子地域である八州原(やしゅうがはら)の藁(わら)を産褥(さんじょく:産後の床)に用いるのが慣わしとなっていました。この藁は「子安の藁」と呼ばれ、それが転じて「安藁(やすわら)」となり、現在の安原(やすはら)という地名の由来になったと言われています。このことから、子安神社は古くから安産の神様として広く知られるようになり、多くの参拝者が訪れるようになりました。
かつて存在した二つの神社:大濱神社との合祀
明治時代以前、子安神社の他に、境内に諏訪社(すわしゃ)と八幡社(はちまんしゃ)の二つの神社がありました。
- 諏訪社(西の宮): 子安神社の西の砂丘上に鎮座し、「西の宮」と呼ばれていました。
- 八幡社: 平治年間(1159年)に勧請されたとされていますが、いつの間にか廃れてしまい、諏訪社に合祀されました。
その後、諏訪社は「大濱神社(おおはまじんじゃ)」と改称され、明治40年(1907年)に子安神社に合祀されました。つまり、現在の子安神社は、元々あった子安神社に、諏訪社(大濱神社)と八幡社の神様が合わさった形となっています。
現在の子安神社:末社と神徳
現在、境内には末社として稲荷社(いなりしゃ)と鎮火社(ちんかしゃ)が祀られています。稲荷社は五穀豊穣の神様、鎮火社は火難除けの神様です。
このように、1100年以上の古い歴史と伝統を持つ子安神社は、安産の神様としてだけでなく、地域の平和と繁栄を守る神様として、今もなお多くの人々に信仰されています。
まとめ
- 創建: 延暦年間(781~805年)
- 主な神徳: 安産、地域の平和と繁栄
- 前田家との関係: 前田家の出産時の祈願、安藁(やすわら)の由来
- かつて存在した神社: 諏訪社(大濱神社)、八幡社
- 現在の境内: 子安神社、稲荷社、鎮火社
鎮座地
金沢市下安原町東467
電話
076-267-0522 (大野湊神社)
拝観料金
無料
御祭神
豊玉姫命
武南方命
行事
ー
見どころ
東光院が近くにあります。
131キロと85キロの重さの力石があります。
松の木など緑に囲まれた境内です。
神徳(御利益)
豊玉姫命(とよたまひめのみこと)
豊玉姫命は、海の神である綿津見神(わたつみのかみ)の娘で、山幸彦(やまさちひこ:別名・火遠理命(ほおりのみこと))の妻です。
- 海神の娘、水の女神: 海の神の血を引くことから、水徳、つまり水に関する力を持つ女神として信仰されています。
- 安産の神、子育ての神: 山幸彦との間に鵜茅葺不合命(うがやふきあえずのみこと)を産んでおり、出産や子育ての神としても信仰されています。特に、出産時に本来の姿(龍)を見られてしまったため、子を置いて海に帰ったという神話から、安産や子どもの成長を願う信仰と結びつきました。
- 縁結びの神: 山幸彦との夫婦関係から、縁結びのご利益もあるとされています。
武南方命(たけみなかたのみこと)
武南方命は、出雲大社に祀られている大国主神(おおくにぬしのかみ)の子で、力持ちの神として知られています。
- 武勇の神、勝負の神: 建御名方神(たけみなかたのかみ)とも呼ばれ、国譲りの際に武力で抵抗したことから、武勇、武道の神として信仰されています。また、諏訪大社(長野県)の祭神としても有名です。
- 開拓の神、農耕の神: 力強いことから、国土開拓や農耕の神としても信仰されています。
- 厄除け、魔除けの神: その武勇から、厄除け、魔除けのご利益もあるとされています。
子安神社における神徳
子安神社では、これらの神々の神徳が合わさって、以下のようなご利益があるとされています。
- 安産、子育て: 豊玉姫命の神徳により、安産、子どもの健やかな成長にご利益があるとされています。特に、前田家との繋がりで説明したように、出産時の藁を用いる風習があったことから、安産信仰が深く根付いています。
- 武勇、勝負運: 武南方命の神徳により、武道、スポーツなどの勝負事にご利益があるとされています。
- 開運、厄除け: 武南方命の武勇から、厄除け、開運のご利益もあるとされています。
- 縁結び: 豊玉姫命と山幸彦の夫婦神話から、縁結びのご利益もあるとされています。
駐車場・アクセス
・駐車場はありません
・下安原バス停から徒歩1分
・安原保育園前バス停から徒歩6分
授与品・御朱印
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